強豪私立対公立高校の違い。野球の価値観が全然違うんです

数年前には、甲子園でも、強豪私立対県立高校の決勝戦が行われました。県立高校は高校生らしい自由な野球。勝ち上がる過程でも、厳しい試合展開を何度もしのいで決勝の舞台に上がってきました。一方の有名私立高校はさすがの横綱相撲。順調な勝ち上がりが印象的でした。そういった2校が決勝の舞台で対戦することとなったのです。

相い対する野球がぶつかりあうところ、それが甲子園なのです

戦前は、有名私立校が圧倒的有利で前評判が高かったのは事実でした。試合内容も、終盤まで私立高校が優勢で試合を進めていました。しかし、そこから大逆転が待っていたのは、記憶に新しいところでしょう。

県立高校の自由奔放な、のびのびとした戦いぶりと私立高校の規律のある、サイン重視の戦い方と、両極端なイメージをもったのも、私だけではないと思います。もし、プロ野球のように、7戦中、先手4勝したほうが日本一というようなルールだったら、このようには行かなかったでしょう。
私立高校の方が、数試合を落としたとしても、圧倒的大差で、優勝したはずです。一発勝負の恐ろしさがここにあったのです。

また、選手たちの気持ちの違いにも、敏感に気づいた人もいると思います。私立高校の選手は、プロ野球に進んだ選手もいます。バッテリーは、大学や社会人を経て、2人ともプロで活躍してますね。私立高校の選手は、野球に対する考え方が違っていると言えるのです。野球を職業としてはっきりと捉えている印象があります。しかし、私もそうでしたが、公立高校の選手はそうではありません。教育の一環として野球があり、その中で、チームとして戦ったいるといった印象があるのです。

この時は、勝負のアヤで、県立高校が勝ちましたが、絶対勝たないといけないという選手の硬さが、逆効果になってしまったパターンといえますね。

プロ野球への奇跡の為の甲子園と、一生の思い出の甲子園の違いとは?

今、日本ハムの4番、オールジャパンの4番で活躍している、中田翔選手も高校時代のことを、こう話してくれていました。「甲子園を目標にしていると、マスコミの前では言ってましたが、本当は、プロ野球選手になるために野球をやっていたのであって、甲子園は単なるアピールの場でしかなかった」と。プロ野球を現実の職業として捉えているところが、私立高校の選手っぽいなあと思うのです。そして、甲子園の位置づけも、プロ野球に入るための過程として捉えています。私たちのように、みんなで、力を合わえて甲子園に行こうといったモチベーションでは既にないのです。

野球に対しての価値観の違いは、大きなものです。こういった気持ちで高校野球生活を送っている私立の選手と、公立の選手とでは、はっきりと甲子園の戦歴となって現れてきます。公立高校が優勝したのは、近年は、前述のそれだけで、あとは私立が独占しています。また、プロ注目選手も多さも、私立は圧倒しています。環境と野球に対する考え方の違いがこの甲子園で、表れてくるのです。ただ、私立高校同士の洗練された試合展開も面白いですが、対照的な野球をする試合も面白いものですね。この決勝戦なんかは、その最たるものだったと思うのです。